“私の精神と魂を崩壊させようと、これまで多くの敵が挑んできた。私の体に刻まれた無数の傷跡は、そうした徒労の痕跡だ。私の体にはドルンの血が駆け巡っている。この心臓が止まるまで、私が屈することなど決してない。”
ダルナス・ライサンダー
インペリアルフィストが誇る堅固なる力と不屈の精神を完璧に体現する戦士として、中隊長ダルナス・ライサンダーの右に出る者はいないだろう。ローガル・ドルンの勇敢さと断固たる姿勢をあらゆる点で想起させるライサンダーは、戦士たちを率いて地獄の如き戦いを幾度となく切り抜け、勝利を掴んできた。
ライサンダーにとって戦いとは生涯そのものであった。巡礼者であった両親を地球への途上で殺されてしまった彼は、独りで戦い生き延びる術を身に着けるよりほか無かった。そして、若くしてたった一人で地球への到達を叶えたことこそが、その意志力の証明であったろう。のちにライサンダーは、インペリアルフィストの教戒官シャドリスによって、戦団に奉じられた記念碑“骨の柱”の前で見出された。第十中隊に所属したばかりの時点ですでに、ライサンダーがインペリアルフィストの求めていたすべての特性を備えていること、そして真の偉大さを証明する運命にあることは明らかであった。
それからというもの、ライサンダーは颯爽と地位を上り詰めていった。初めて大きな称賛を受けたのは、彼が軍曹として務めていた時である。惑星イドゥノにおけるコロニアル・ブリッジの戦いで第二中隊の一部を率いて防衛戦を指揮し、次々に押し寄せる異端者の軍勢に勝利したのだ。その後、アエルダリ艦“カインの血”の拿捕を成功させた功績により第二中隊の指揮官に昇進した彼は、長きにわたって指揮官としての務めを果たした。その全盛を極めたのは、ハッドドレイク・トールにおいて三年にもわたる攻囲戦に参加した時であろう。
ライサンダーと彼の戦闘同胞たちは、惑星の最も高い峰で攻撃の指揮をとりながら、テレポート誘導装置を設置し、第一中隊の古参兵による攻撃を助けた。しかし、大逆者による冒涜時な儀式によって〈歪み〉の流れが崩壊し、インペリアルフィストの滅殺者たちは、岩の中や孤立した地点、敵の包囲下にテレポートされてしまった。さらに第一中隊長クレイトゥスに至っては、半身が山肌に融合した状態になっていた。己の最期を迎える直前に、彼はライサンダーに指揮を委ね、自身のサンダーハンマー“ドルンの拳”を託した。ライサンダーはその武器を手に、生き残っている同胞たちを率いて偉大なる勝利を掴み取ったのだ。
40千年紀末において、ライサンダーが乗り込んだ打撃巡洋艦“勇猛の盾”は〈歪み〉へと消えて行方知れずとなった。当初戦団は艦が戻ることを祈って厳粛な警戒を続けたが、それも叶わなかった。最終的にライサンダーの名は戦死者の列に加えられ、ファランクス内の“英雄の間”に彼の彫像が建てられたのだった。
それから一千年後、“勇猛の盾”はアイアンウォリアーの要塞、マロドラクスの至近にて実体化した。アイアンウォリアーに対して火力でも数でも圧倒されたライサンダーと僅かな生き残りのインペリアルフィストは、戦匠ション=トゥに捕らわれ、拷問を受けることとなる。これを一人生き延びたライサンダーは、武器も装甲服も無い状態で脱出し、戦団へと帰還した。同胞たちは、このような名のある英雄の帰還に歓喜した一方で、〈歪み〉の影響により穢れを受けているのではないかといった不安も拭いきれなかった。戦団の医術官、教戒官、司書官はライサンダーを考え得る限りの心身及び魂の純潔性に関する試験にかけた。帰還した英雄はすべてに進んで応じ、その過程でさらなる苦難に耐え切った。そして結局、穢れの兆候は一切見つかることはなかった。
第一中隊長の地位に復帰したライサンダーは、アイアンウォリアーへの報復作戦を指揮するにあたって、マロドラクスへと戻り、犠牲を伴いながらもション=トゥの戦士たちとの戦いを繰り広げた。ライサンダーは“ドルンの拳”を取り戻したものの、ション=トゥは実に抜け目なく、幾度となく彼の怒りから逃れたのだ。だが、彼らは最終的に、工場惑星タラドルンで再び見合わせることとなった。その戦役でともに戦っていたブラッドエンジェルとウルトラマリーンはアイアンウォリアー追討への助力を申し出たが、ライサンダーはそれを拒んだ。インペリアルフィストはアイアンウォリアーに勝利したものの、同胞たちを数多く失ってしまう。個人的な復讐を追い求めた高慢さと利己的行動が問題視され、ライサンダーは第三中隊長へと降格された。
しかし元の地位への復帰の機会はすぐにやってくる。ティラニッドに汚染された航宙融合体が惑星ドラシンに墜落した時、戦団長ヴラディミル・プーフと第一中隊の多くの兵たちが、惑星を救うべく急行した。ライサンダーと彼の第三中隊は後から加わり、援護を行う。やがてインペリアルフィストが勝利を手にしたが、戦団長プーフと第一中隊長は戦死してしまっていた。その後ライサンダーは、戦団長に相応しき後継者として候補にあがったが、彼はその地位を辞退した。その代わりとして、彼は再び第一中隊長となり、以来その役割を放棄することなく果たし続けている。
〈大亀裂〉が発生して以降、ライサンダーと第一中隊は〈日輪の宙域〉と〈薄明の宙域〉の至る所で活躍をみせていた。ライサンダーは、オルクの無頼賊であるドロクノッグ・レッドフィストを抹殺したのち、惑星アムラヴ上空における艦隊戦の戦局を覆した。またある時は、工業惑星モンス・マグニフィカにおいて、ネクロン相手にテレポート攻撃と降下艇攻撃を敢行し、極めて貴重な聖工場施設の数々を異種族の手から解放した。最近彼らは、かつての〈ケイディアの大門〉近辺で活動的に動いている。彼らは惑星ハゼファットにて勢いを増している渾沌の軍勢を鎮圧し、その区域内に存在する数々の惑星からの救難要請に応えているのだ。同時に、アイアンウォリアーの新たな動きが報告され、それに関する彼の懸念が高まってきている。過去数十年で自制を学んだにも関わらず、第一中隊長は戦匠ション=トゥを見つけ出し、討ち倒すことを、いまだ密かに望んでいるのだ。もしかすると、その機会もじきに訪れるかもしれない。
武器と装備品
中隊長ライサンダーは滅殺装甲服を好んで用い、その扱いにも熟達している。サンダーハンマーを備えた滅殺者(ターミネイター)のテレポート強襲によって巨大な戦闘兵器を内部から破壊する滅殺巨鎚分隊(ターミネイター・タイタンハンマー・スカッド)を他に先駆けて編成したのもライサンダーだ。滅殺装甲服の他にもライサンダーは、古代の遺物であるストームシールド“城壁”と、総主長ドルンがかつて使用していたパワーハンマーの“ドルンの拳”を身につけている。
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