ペイント専門家に聞いてみよう — エヴィメタルは『キルチーム:ハイヴストーム』にどのように取り組んだ?

まもなく登場するウォーハンマー40,000:キルチームの新版。実は、この新版を成功させるため、発表のずっと前から懸命に働いていたチームがいた——公式ペイントチームのエヴィメタルとアーミーペインターだ。

この2つのチームがどのように作品に取り組んだかを探るため、エヴィメタル・チームからはドリューとクリンバー、そしてアーミーペインター・チームからはグラント、ハーヴィー、タンギに話を聞いてみた。

Warhammer Community(以下「WarCom」):新しいキルチームについて聞かせて。特にヴェスピッドは見た目が新しくなったね。

クリンバー:ヴェスピッドが背景設定の中でユニークな種族であることを際立たせるような、重要な視覚要素を特定するきっかけになったよ。

開発途中のバージョンでは、有機的な性質に重点を置こうと思った。また、タウ・エンパイアとは対照的になるように、さまざまな明るい色彩と鮮明な模様を使ったんだ。ヴェスピッドは鋭い鉤爪で敵を切り裂くことができる、非常に危険な昆虫型の生物だ。これは重要な要素だし、配色を決めるときはその点に注目したかった。自然界では、色が鮮やかなもの、特に鮮やかな昆虫などは、通常危険であることを表すよね。だから、色の鮮やかさを参考に配色を決定するのはとても自然なことだと思ったんだ。

既存のタウ・エンパイアとクルートの傭兵に合うような色味を開発したいとも考えていた。そこで、背景設定の構成に合う色として、オレンジを選んだんだ。自然界を基に色味を考えることで、非常に異質な雰囲気と、本能的に危険を感じられる色を表現できるからね。

黒く光沢のある目や、細長い脚の色落ちた部分、カミソリのように鋭い鉤爪とコントラストになっている緑色は、ヴェスピッドの致命的な性質を表しているんだ。

甲殻と触角に模様を加える作業は、ペインターとしてとてもクールだった。この模様はスカッド全体に加えたんだ。それぞれが微妙に違っていてユニークで、個性を感じさせるものになっているよ。独自の表現を加えるには絶好のポイントだね。いろんなインスピレーションが浮かぶと思うし、コミュニティがどのような面白い配色を考え出すか、楽しみだ。

タンギ:アーミーペインター・チームの仕事のひとつは、プレイヤーやペインターの可能性を広げるために、他の種類の配色を考えることだ。ヴェスピッドに関しては、いくつかバージョンを作った上で、ボックスアートのものとは異なるアプローチを取ることにした。タウの装備品以外、ヴェスピッドが着ているユニフォームはないから、本当に面白いアイデアで突き進むチャンスだったんだ。

グラント:エヴィメタル・チームが手がけた、リアルな作品をさらに充実させるために、僕たちが考えたものの中からイカしてるものを採用したかった。だから、とりわけ異質な感じを醸し出せるような極端な色を使うことにしたんだ。

WarCom:テンペストゥス・アクィロンについては、どういうアプローチを取ったの? ヴェスピッドよりも断然規則性や統一感があるよね。

ドリュー:どういうアプローチでペイントを行なうかは、常に世界観の視点から考えるんだ。テンペストゥス・アクィロンは、帝国防衛軍の超精鋭部隊かつ無慈悲な殺し屋であり、隠密行動や作戦、高速突入を得意とする。どのような配色であれ、焦点となるこれらの重要なポイントを考慮する必要があった。

テンペストゥス・サイオンに焦点を当てた古い資料があったから、それを使って、アクィロンのユニットの細かく微妙な点についてアイデアを練った。50種類を超えるサンプルを使って、まずは配色を考えたよ。最終的に、暗く落ち着いた色が採用された。

これでできあがったのが第17シータン・ドラゴンズ連隊だ。よりダークで厳格な戦闘部隊と、より“パレード向き”なスタイルの第55カピックイーグル(テンペストゥス・サイオンに見られるスタイル)との間で、コミュニティのペインターたちも分かれるかもね。これらの精鋭帝国部隊を探求する良い機会になると思うよ。

アクィロンが携える装備品は、すべて最高品質のものだ。質の良い革紐が使われ、装甲には磨き上げられた真鍮の縁取りが施されている。装甲全体には使い古した感じがない。定期的に危険な任務に就く部隊のために、かれらの装備品がいかに入念にメンテナンスされているかがわかるようになっているよ。

アクィロンをさらにリアルに見せるため、細かい点にもこだわった。暗視ゴーグルの不気味な輝きで、秘密特務兵の雰囲気を表現したかったんだ。暗視ゴーグルの色は、ボディ全体の落ち着いた色と好対照になっている。腕甲の赤と緑のライトも見逃せない。グラヴシュートで浮上しているときは緑色のライトが点灯し、地面にいるときは赤色のライトが点灯するように描かれている。ウォーハンマー40,000の技術を理解し、リアルに表現できるよう、僕たちは常にこのような細部について考えているんだ。

考え抜いたバリエーションの中でも、ディーモンハンターのコデックスに登場する異端審問庁の部隊の一員として、最も象徴的な姿を表現できるように、赤と黒の色彩を使ったものもある。

グラント:『ハイヴストーム』の本には、キルチームごとに5つのカラーバリエーションがある。僕たちはボックスアートのミニチュアとは異なるアイデアを採用したんだ。どちらのチームも目立たなければならないけど、サイオンについては、異なる環境に配置され戦闘を繰り広げているイメージで考えた。

タンギ:隠密作戦スタイルとはまったく異なるものを作るチャンスだったよ。最終的に決まったのは、ジャングル、雪、砂漠の環境に溶け込むようなバージョンだ。素晴らしい写真の力も借りた。今までとは異なり実験的で、非常に雰囲気があり、ミニチュアと特殊地形がうまく溶け込んでいる写真なんだ。

WarCom:特殊地形の話題ついでに、新しい『キルゾーン:ヴォルクス』のセットも『キルチーム:ハイヴストーム』に含まれているよね。 この特殊地形はどのようにペイントしたの?

ハーヴィー:アクィロンの複数のバージョンに取り組むのと並行して、アーミーペインター・チームが特殊地形も担当することになった。僕たちはまず、地形用に5〜6回のカラーテストを実施したんだ。『City Fight』と『Cities of Death』の資料から多くの調査を行なったよ。

特殊地形の色自体が映えるようにするのはもちろんだけど、ミニチュアを引き立たせることも重要だった。キルチームと一緒に撮影することが多いから、色がうまく合わなかったり、混ざったりしないようにするためだ。

どの色の壁が一番効果的かを検討するために、箱いっぱいに詰めたいろんな色の壁にミニチュアを立てかけて、スタジオの他のメンバーに見せたことを覚えているよ。ヴェスピッドはよく目立つのに、アクィロンは壁に溶け込んでしまうような色もあった。最終的には、特殊地形の個性を失うことなく、両キルチームの完璧なバランスを見つけることが大切だった。

グラント:ルール担当のチームは、建物の重要な部分を簡単に見分けられるようにしたかった。説明文では、そういった部分はデジタル処理でハイライトされているけれど、ペイントする際には、ドア、壁、窓のような部分の境界をもう少しはっきりさせて、地形の重要部分が明確になるようにしたんだ。でも同時に、より広い写真では、すべてが自然に溶け合うように工夫した。

タンギ:瓦礫の特殊地形については、他のと区別させるために、風化の要素をかなり強くした。これによって瓦礫がより明確になったけど、背景設定の景観は壊さないようにしたよ。

ハーヴィー:ボックス内のボードについては、実際に地形ボードを作ってペイントし、写真に撮ってからデジタル技術でパーツを加工し、プレイ用のボードを作ったんだ。この地形ボードの一部は、瓦礫の山や土台として、本で紹介されている特殊地形の写真や世界観用の写真で使用された。そのおかげで、『ハイヴストーム』全体に一貫性を持たせることができた。

WarCom:最後に、キルチームがミッションに持ち込める一般的な装備品が収録された装備品ランナーについて聞いておきたいな。どうやってペイントに取り組んだの?

タンギ:これは特に難しかった。トークンや計測器をペイントすることはあまりないから、確固としたルールはないんだよね。計測器は、指揮官としてチームを指揮するときに使う道具のようにしたかった。大きな髑髏があるんだけど、通常の骨の色で試してみたらしっくりこなかった。金属っぽくしたら、ずっとうまくいったよ。

装備品をゲーム内で見やすくすると同時に、背景設定に合うように気をつけなければいけなかった。はしごについては、機械的な機能を表現するため、油を塗ったように見える部分を作った。バリケードも見やすいものでないといけないけど、使用感を伝えるために劣化させた。スモークグレネードは作業していて楽しかったな。でも同時に、クラックグレネードやフラググレネードの外装と同じ色で塗らないように注意しなければならなかった。 すべての装備品にミニチュアとの統一感があるようにしたんだ。

テンペストゥス・アクィロンやヴェスピッド・スティングウィング、そして特殊地形や付属品で、君の配色を実践してみよう。「『キルチーム:ハイヴストーム』は、予約販売受付中だ!

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